阿佐ヶ谷chillout

何もないから寒い

赤黒の神話レアの歴史

f:id:counterflux:20170623212817p:plain
破滅の刻の新カード、蠍の神が公開されました。
一応マジックでの2色の組み合わせでは赤黒に一番思い入れがあります、今の所という助動詞が付きそうですが。ラヴニカへの回帰からマジックを始めてテーロスブロックを経験してるぶん色の組み合わせにはかなり思い入れがある方だとは思います。でも毎回赤黒の神話レアが出るたびに「ああ今回も弱い…」と落ち込んでしまうので、歴史から考えたときにそれが本当かどうか調べて行こうと思いました。なるべく神話レアに絞って見ていきます。あと長いです。


アラーラの断片

f:id:counterflux:20170623212941j:plainf:id:counterflux:20170623212949j:plain
アラーラの断片ブロックから神話レアというレアリティが追加されました。アラーラの断片は三つの色の組み合わせがそれぞれの世界の名前で呼ばれるブロックで、そのうち赤黒が含まれるのはジャンドとグリクシスの二つでした。
なんとなく当時の文献をなぞった感覚だとジャンドが特に猛威を振るっていた感じがします。若き群れのドラゴンなどサイズに優れていたのがポイント高いですね。またグリクシスには根本原理サイクルの中で格別の性能を誇る残酷な根本原理があります。素敵ですね。

f:id:counterflux:20170623213155j:plain
赤黒単体で見るとコンフラックスで赤黒初の神話レアとしてグリクシスに棲むデーモン・ドラゴンことマルフェゴール様が登場します。キツめの色拘束とレシオ通りのサイズに、登場時に自分のハンド枚数ぶんの布告効果を持ちます。
今見ても見た目通りの微妙さですしMtGwikiにもデッキで使われた記述がないのでそういうことなのでしょう。なぜ除去耐性もないのに自分の手札を捨ててしまいますか?

f:id:counterflux:20170623213249j:plain
また第三ブロックのアラーラ再誕でも神話レアとして魂の汚染者が登場しています。これもグリクシスに棲む6マナ5/5のデーモンで生贄を強要するなど直前に出たマルフェゴールと被っている要素が多すぎる気がしますね。しかも布告効果は自分も巻き込むのでマルフェゴール様とはまた別の使いにくさが…なんでそんなところで差別化を図ろうと…絵はなんか爽やかでいい感じですね。

f:id:counterflux:20170623213344j:plain
多色推奨のブロックだけあってその他の赤黒のカードには終始・荒廃稲妻・瀝青破と強力なスペルが揃っていて、当時のスタンダードでもかなり使われていたようです。モダンのリビングエンドでおなじみの悪魔の戦慄、巨大オサムシもこの頃。
僕が好きな一枚を選ぶとしたら思考の大出血が推しです。性能的には後の殺戮遊戯に譲る形ではありますがイラストが良すぎ。

ゼンディカー

f:id:counterflux:20170623213412j:plain
ゼンディカーブロックではエルドラージ覚醒にて初の赤黒のプレインズウォーカー、狂乱のサルカンくんが登場します。この頃は自分を見失っていて触るものみな傷つけていたギザギザハートのサルカンくん、忠誠度をプラスする効果を持たないという使い切りデザインのプレインズウォーカーです。
後世に似たデザインのものが一枚もないことからデザイン的にはにはかなりお察しなのでしょう。一応黒赤ゾンビのサイドでコントロール相手に息切れ防止で採用された実績があるとかどうとかwikiには書いてあります。
これは一度も使ったことがないのでちょっと使ってみたい1枚ですね、額面通りの性能だとは思いますが…
ちなみに多色ブロックであったアラーラの反動で、ゼンディカーブロックでは基本的に単色のカードしか用意されませんでした。例外としての多色pwがあって嬉しいやら性能で悲しいやら…。

f:id:counterflux:20170623213555j:plain
また2色の組み合わせごとにクリーチャーになる起動型能力を持つ土地、通称ミシュラランドも土地がテーマであったゼンディカーブロックで登場しました。赤黒はその中でも頭一つ飛び抜けて弱いです。なんでミシュラランドに追加でマナを払わなければならないんだ…
でも一応この時期にスタンで成立していた赤黒吸血鬼などでは使われていたようです。赤黒の辛いところの一つに、こういったアーティファクトや土地などのカードとの噛み合いが異様に悪いというところがあります。赤も黒もクリーチャーを殺すことには長けているのですがそれ以外がからきしダメという部分が一貫してカードデザインに反映されていて、まあ間違ってはいないんですが。

ミラディンの傷跡

f:id:counterflux:20170623213752j:plain
ミラディンという名の通り、アーティファクト次元のため半分近いカードがアーティファクトである関係上、多色のカードは殆ど刷られませんでした。ストーリーに関係するヴェンセール、テゼレット、裏切り者グリッサ。それとミラディン最後の希望・絶対覇者であるジョー・カディーン様のみ。
ただここで登場した黒割れの崖は、後に公式フォーマットとして制定されたモダンで赤黒を支える非常に重要な土地で長く使われています。ファストランドサイクルの中では今でも一番高額じゃないでしょうか。

イニストラード

部族強化がテーマの一つであったイニストラードブロックでついに赤黒は栄華を誇ります。有効二色の組み合わせごとに部族が設定され、赤黒は吸血鬼のカラーになりました。
そしてイニストラードの吸血鬼たちはマルコフ、ヴォルダーレン、ファルケンラス、ストロムカークの4つの種があり、それぞれの血統ごとに長けている魔法が設定されるなど設定の大盤振る舞い。

f:id:counterflux:20170623213902j:plain
イニストラードで堂々たる登場をしたヴォルダーレンが始祖、オリヴィア・ヴォルダーレン様は赤黒神話レアの歴史上初めて活躍したカードと言って過言はないでしょう。生き残れば戦場の全てを支配下に置く圧倒的な征圧力で時代を問わず構築で活躍し続けるカードです。そして僕が大好きな1枚でもあります。最近はモダンマスターズでの再録でお求めやすいお値段になりましたね。

f:id:counterflux:20170623213952j:plain
闇の隆盛で登場したファルケンラスの貴種も構築で目覚ましい活躍を見せていました。オリヴィア様と比べ自軍生物を糧としあらゆる角度から突っ込んでくるその姿は、のちにデッキ名に「The Aristocrats」と自らの名前をを冠するほどの燦然とした輝きを放っていました。
破壊不能を得られる彼女の弱点は悲劇的な過ちに耐えられないことと、日本語名に誤植があること。ストロムカークを「流城」としたことなど、この時期のマジックには誤訳と誤植が多くて今では考えられませんね。今年に入ってモダンマスターズで再録され、ようやく正しい名前を手に入れました。どうせ英語版使うから関係ないけど

f:id:counterflux:20170623214129j:plainf:id:counterflux:20170623214135j:plain
マルコフ家はプレインズウォーカーのソリンさんがある程度仕切っているのでともかく、日本語名を「流城」と訳されてしまったストロムカーク家には神話レアは与えられませんでした。なんでそこだけ漢字にしたんだよ!許してないからな!
しかし登場してから長く赤単を支え続けた1マナ特攻隊長の流城の貴族さんと、歴代吸血鬼の中でも5指に入るであろうルックスを持つ流城の隊長殿のことは忘れずに紹介しておきます。
のちのイニストラードを覆う影ブロックで軽めの吸血鬼が増えてきたことで隊長殿はモダンで少し活躍しているのを見ましたね。ちょっと自分でも使ってみたいな…。

f:id:counterflux:20170623214216j:plain
あとは2色の組み合わせの起動型能力を持つ土地がブロックを通して収録されているのですが、赤黒のステンシアの血の間はミシュラランドに引き続き卒倒するほどの弱さでした。このサイクルは10枚もあるぶん色ごとの使いやすさの格差はかなり大きいほうではありましたが、単純に支払ってるマナに見合う効果が弱すぎるためにEDHにすら入れるのをためらうレベル。絵は素敵なんですが…絵は…。

ラヴニカへの回帰

f:id:counterflux:20170623214318p:plain
そうしてやってまいりましたラヴニカへの回帰ブロック、2色の組み合わせ10種類に10のギルドが設定されていて、我らが赤黒はラクドス教団という名前で呼ばれることとなります。
破滅と享楽のカラーで刹那的な生き方を至上のものとするギルド。当時公式のwebにあったギルド診断ではただひたすらにサイコパスな選択肢を選び続けなければオススメされない完全に狂ったギルドでした。
この頃のスタンは大・多色環境→信心環境で、ラクドスのカードそのものが爆発的に使われたわけではないですが、この頃にマジックに初めて触れたこともあり思い入れが半端ないので思い入れのあるカードをいっぱい紹介します。

f:id:counterflux:20170623214406j:plain
ラクドスに与えられたキーワード能力は「解鎖」。ブロックができない代わりに高い打点を手に入れる諸刃の能力ですが、最初から前しか見ていなければ何の問題もありませんね。このラクドスの哄笑者は出しやすい1マナ2/2として世界一解鎖されたクリーチャーでしょう。
僕はこの時期から本格的にマジックを始めて、地獄乗りを新宿のアメドリの特価で4枚買い(当時800円くらいだったけど一度に高額使ったのはこれが初めてだった)、灰の盲信者などと組み合わせた赤単アグロを組み、GTCからは白をタッチした赤単t白で初めてフライデーナイトマジックで3-0しました。赤黒はどこに行ったんだ。

f:id:counterflux:20170623214539j:plain
ラヴニカの回帰のトップレアだったスフィンクスの啓示、その対となるデザインであるラクドス様の復活のこの果てしない格好よさたるや!ラクドスリターンX=FULL!!
実際のところは赤黒でマナを伸ばす方法がまるでなく、だいたい1マナ重い荒廃稲妻でしかないせいでラクドス様本体ともどもカス神話の扱いをされていました。僕はFoilを買いました。好きだから。

f:id:counterflux:20170623214657j:plain
他にも「プレインズウォーカーを破壊する」テキストを持つ初のカードである戦慄掘り、なぜか色が増えたことで打ち消されなくなった記憶殺しこと殺戮遊戯など、下環境でも使われる強力なユーティリティを得ました。
ラクドスの魔除けも魔除けサイクルの中ではかなり尖っている1枚ですが、無限トークンコンボのアンチカードであったりモダンドレッジの息の根を止めたりなど、尖っているなりに刺さると有効なシーンのあるグッドカードです。決まると思わず絵柄と同じドヤ顔をしてしまいます。

f:id:counterflux:20170623214752j:plain
続くギルド門侵犯ではギルドの登場タイミングの関係でラクドスのカードは当然1枚もありませんでしたが、第三ブロックのドラゴンの迷路では10ある全ギルドのカードが勢揃いしました。
しかし多色ということもあってかカードパワーにかなりのバラツキがある中、アンコモンで収録されたとげの道化は「当たりのカード」とされていました。2マナ3/1速攻のインパクトたるや!スパイクジェスター…GO!!!!!って当時何度も走らせたのを覚えています。キャッチされる率はそれなりに高かったですが…
ちなみにこのあいだのモダンマスターズで再録されてコモンになったのでパウパーでも使えるらしい…使いたいな…。

f:id:counterflux:20170623215031j:plain
そしてドラゴンの迷路を走り抜けるべく、ラクドス教団から選ばれた迷路走者はラクドスの血魔女、イクサヴァ。
他の解鎖クリーチャーをバックアップするのみならず自身も速攻を持つという、一枚で綺麗にまとまったデザインではありましたが、他の解鎖クリーチャーのスペックが微妙だったこと・灰の盲信者やとげの道化など速攻を持つ生物が普通に強かったこと・前後のブロックで+1/+1カウンターとシナジーがうまく組めなかったこと・そもそも4マナ生物に競合が超多かったことから大して活躍はできませんでした…。結構使い倒したんですが。

f:id:counterflux:20170623215108j:plain
狂気の種夫は逆に最初こそ重くて微妙みたいな顔されてましたが、掘葬の儀式が使えた頃にはリアニで、テーロス期にはジャンドモンスターの盤面に蓋をする役として、レガシーでは格安構築の赤黒リアニで重宝されるなど、環境さえ合えば活躍するグッドなカードです。

f:id:counterflux:20170623225848j:plain
そしてドラゴンの迷路では各ギルドに1枚ずつ神話レアが与えられています…見よこの雄々しき姿、残虐の達人!先制攻撃・接死をブロックされなければ、相手のライフが1になるドン!ワーイだドン!でも回避能力も除去耐性もないので見た目通りの性能でした。そりゃそうだろうよ!!
一応当時スタンでM14の紅蓮の達人、チャンドラの+1が本体1点+相手のクリーチャー1体にブロック不可という効果だったので使ってみたりもしたんですが、完全に噛み合っているわけではなかったり、イクサヴァやとげの道化とも噛み合わなかったりと非常にイマイチでした。現在はモダンのアリーシャリアニメイトに居場所を見つけています。よかったね。

テーロス

f:id:counterflux:20170623225940j:plain
新次元テーロスは単色の5柱の神が統治していて…という導入の時点でテンションが100から2に下がったんですが、かろうじて赤黒の多色に神話レアがありました。その名も死の国のケルベロス
冥界の番人であるケルベロスを神話の通りにトップダウンのデザインでカード化したこの1枚は、フレーバーに富んではいたものの特定のカードと組み合わせてどうにかするということもなく、「ただケルベロスをデザインしてみた」という事でしかありませんでした。なにそれ。
除去コン気味に使うと殺したはずの生物が相手の手札に勝手に戻って来る、リアニメイトで踏み倒すと墓地のカードが対象に取れず後続を呼べないというひどく不器用な子。
墓地を差し押さえる能力もイニストラードブロックに接していればフラッシュバックを抑制できて強かっただろうに、5マナ6/6というボディも5マナ4/4飛行速攻プロテクション白である嵐の息吹のドラゴンに枠を全部取られ、信心も大して稼げずと、死の国ならぬストレージの番人に高速で就職していました。
これも超好きなカードですんでね…Foilを持っていますがマジでどう使ったものかと思いましたね…。一応M15で登場した発生器の召使いから3t目にシュートするとケルベロスが死んでも召使いが手札に還ってくるという超絶コンボの赤黒ビートダウンを組んだこともあったんですが、PWPがギリギリ足りず平日大会にモリモリ出てたころの高橋優太さんにフィーチャーマッチでボッコボコにされた記憶があります…。

f:id:counterflux:20170623230138j:plain
その後の神々の軍勢以降では思い出したかのように2色の組み合わせの神が刷られ、殺戮の神であるモーギス様がこの世に生まれ落ちました。
この頃の世は大・信心時代。黒単青単を始めとして様々なカラーのデッキが作られましたが、キーとなるクリーチャー…タッサ様以外の単色神は全員4マナだったことに始まり、冒涜の悪魔に波使いにモーギスの狂信者にポルクラノスと4マナの生物がとにかく強力な激戦区で、まあ当然のように使われませんでした。
何度か赤単信心タッチ黒で見た覚えがあるだけマシかもしれません。エイスリオスも含め、「相手に選択権のあるカードは弱い」の例に漏れずテーロスブロックのカードは結構残念でした。
一応信心のギミックがあるぶんこの先カードプールが増えれば使われる可能性もゼロではないかも…?

タルキール覇王譚

アラーラの断片ブロックは所謂友好三色の組み合わせでしたが、タルキール覇王譚では別の三色の組み合わせに名称が付き、それぞれの「氏族」が成立しました。
赤黒は友好色の組み合わせなので、含むのはマルドゥのみ。この頃から特に赤黒という色の組み合わせに拘っていた時期でもあり、発売日からマルドゥミッドレンジをガッツリ組んで回していました。
環境が定まる前だったので結構勝てて、この年はラストサンにも出場できて嬉しかったです。アブザンアグロが爆誕してからは一切勝てなくなりましたけどね…

f:id:counterflux:20170623230244p:plain
そんな中で一番使ってたのはこの軍属の解体者。むしろマルドゥミッドレンジにはコレ以外に強みがなかったとも言えますが…
ゴブリンラブルマスターから出てきたゴブリントークンをおやつ代わりに食べて、除去されなければ高打点、除去されたら終了という大博打カードって感じでした。
白入ってるけど凄い好きなデザインで、モダンでもまた使えればとは思うんですが、先輩のファルケンラスの貴種のが除去耐性があったりしてなかなか難しいですね…。

f:id:counterflux:20170623230426p:plain
それから「どうせ三色の組み合わせでしかないんでしょ」とマルドゥミッドレンジで全然勝てず鬱病になってしまった僕の目の前に運命再編で現れたのは伝説のドラゴン・サイクルでした。マジかよ。
嵐の憤怒、コラガンはレアのドラゴンサイクルの中では結構強い方だったんじゃないでしょうか。というのもタルキール覇王譚の時期に初めてGPに出て、リミテだったんですが当然のように微妙なスコアで負けに負けてしまい、でもGP楽しい次も出たいという火がついて、直近のレガシーGPに出るためにカードを買い集めレガシーに参入したので、このあたりからスタンダードのことがわからなくなります。
一応発売日前にプロキシでマルドゥミッドレンジを試してた頃に使ってたけど、サルカンでよくない?って気持ちが強かった記憶があります。ミッドレンジならそうだよねー。

f:id:counterflux:20170623230539p:plain
赤と黒で使えるところで言うとこの粗暴な軍属長も、赤黒の神話レアと言えるのかもしれません。運命再編のプレリのときに引いて、これは絶対使い倒すぞと誓ったのも今は昔。
思うように勝てない自分と、赤白ベースにデッキを組みたくない自分との間で揺れていて、今思えば駄々をこねてただけだったんですがそのくらい色の組み合わせに拘っていた時期です。
結局可能性こそあったもののスタンダードでは結果を残せなかったようで悲しいですね。黒と白含む4マナなら包囲サイ一強だったもんな。改めてモダンで可能性を探してあげたい気持ちもありますが一筋縄ではいかなそうな…。

f:id:counterflux:20170623230627p:plain
タルキール龍騎伝から戦乱のゼンディカーが終わるまでの間は先の通りレガシーGPに出た後、マジックそのものをやってない時期でした。その頃はマジックに代わる、マジックより面白いゲームを探してたんですが結局見つかりませんでしたね。
それはそうとマルドゥ氏族がなくなり、龍王コラガンを頂点とする新しい未来がやってきたブロックです。赤黒の神話レアとして生まれ変わった龍王コラガン様は…、MtGwikiにも「基本性能自体は高いのだが、いかんせん能力が心もとなく、スタンダード環境ではほとんど姿を見せずにその生涯を閉じた。」って書いてあるレベル。その生涯を閉じた、って悲しい言葉すぎません?

f:id:counterflux:20170623230713p:plain
とはいえ同時に出た新しいコマンドサイクルのコラガンの命令は、タルキールでサルカンが示した通り赤黒の歴史を変えてしまった1枚です。
この恐ろしいばかりの汎用性…。3マナでディスカードと2点で唱えるだけでいとも簡単にカードアドバンテージを稼ぐベストオブユーティリティ。モダンもレガシーも、下環境のジャンドやグリクシスを支える根幹となるカード。
おそらく采配が上手すぎて自分自身で動くことが減った結果、龍王コラガン様が活躍できなかったとするならば、それも仕方ないかなと頷ける強さです。そういうことにしておきましょう。

f:id:counterflux:20170623230935p:plain
ちなみにアンコモンではありますがこの快速ウォーカイトくんも素敵な1枚ですね。Swiftを快速と訳すセンスどうなってるん。
このころ家に泊まりに来たたぬきちがスタンやりたいって言うもんだからその場で快速ウォーカイトと発生器の召使いを組み合わせて、これでマナを出すのに使った召使いが帰ってきてカードアドバンテージを失わずに高速展開できる、しかも快速ウォーカイトが死んだら死の国のケルベロスとコラガンの命令で回収することで理論上無限に戦える「快速ウォーカイトスペシャル」を徹夜で組み上げて次の日にたぬきちをビギワン!に送り出した事を覚えています。
ちなみに結果を聞いたらケルベロスがいると快速ウォーカイトとコラコマで墓地のカードを回収できない」ってかなりガチめにキレられました。今思えばあれが最初に組んだクソデッキだったなあ…。

マジック・オリジン

f:id:counterflux:20170623231120j:plain
PWの神話レアなどの例外を除き基本的に多色のカードが収録されていないので基本セットは今まで全部スルーしてきましたが、マジック・オリジンには二色のアンコモンが10枚収録されていたようです。今さっき知りました。
ビビるほどどうでもいいスペックですが、4マナパワー4に生贄能力で打点に換算する能力を考えるとファルケンラスの貴種や粗暴な軍属長なんかの流れを汲んでると言えるのかもしれません。もうちょっと増えたら猟犬デッキが組める…!?いや無理か…

戦乱のゼンディカー

f:id:counterflux:20170623231208p:plain
多分近年で一番思い入れのないブロックです。マジックに一切触れずなんかグラブルとかコード・オブ・ジョーカーとかやってた記憶があります。
だって急に無色とか言われてもなあ…。欠色ってついてたら赤黒も赤黒感がないですしね。でもこの殺戮の先陣は赤黒のアグロでたまに使われてて結構いいなあと思います。自分では一度も使ったことがないんですが。
総じてエルドラージには良い思い出がないのでこのあたりでやめておきます。

イニストラードを覆う影

さあ帰ってきました我らがイニストラード、今回も頼みますよ吸血鬼さんがた…と思ったものの、部族強化と異界月への伏線がうまく噛み合っておらず、マッドネスも単体ではうまく使えないちぐはぐな色になってしまいました。
スタンダードはバントカンパニー一強時代、全体的に緑と白がずっとズルいことをしていて赤黒はフェア的な立ち位置でろくすっぽ活躍しなかった時代でもあります。この頃にはマジックに戻ってきてましたが下環境ずっとやってたのでスタンの事はあんまり。

f:id:counterflux:20170623231356j:plain
そんな中で過去に栄華を誇ったオリヴィア様は自ら剣を取り軍勢を従えて戦争に向かってしまいましたが、なんだろうこのしょぼいアングルの絵…。
能力もマッドネスに絡めてのものではあるようですが、普通に呪文を唱える事に加えてマッドネスのスペルも唱えなければならず、低マナの生物に+1カウンターを乗せて戦争に向かわせるとなるとリスクも大きく、総じて使いにくい1枚で、戦争どころかストレージに向かう者になってしまいました。
思い返すと周囲の生物に速攻を与えるという点である意味イクサヴァに近い系譜のカードだったのかなとも思います。騎士なのでうまく使えればモダンでもワンチャン…。

f:id:counterflux:20170623231620j:plain
異界月でもかろうじて赤黒のレアを1枚いただきましたがこの血の間の僧侶さんは見た目通りの強さでした。後述するカラデシュ期でマッドネスが成立して、暴勇よろしく赤黒ハンドレスアグロのトップカードとしてヘリが空を飛べなくなるまで使ってました。
弱点はなんか柔道が強そうな顔をしているのと眉毛が無いこと。

カラデシュ

f:id:counterflux:20170623231543j:plain
アーティファクトブロックと聞いた時点で色のあるカードは無の性能なんだろうなといち早く鬱病になっていましたが、この無許可の分解はビビるほどに強力で赤黒を使う理由になるほどです。
問題はヘリが落ちた後も落ちる前も、白をタッチした高速機体アグロが主流になってたこと。赤黒は好きなんですがジャンド>グリクシス>マルドゥという感じなので白はちょっとなあという気持ちが今でも強い。色々書いてるうちに運命再編あたりに何かの原因がありそうなのがわかってきましたが、今はスタンではBGを使っているのでどうでもいいことです。

アモンケット

f:id:counterflux:20170623231735j:plain
モダンのやりすぎでかなりどうでもよくなってましたがアモンケットでは赤黒はミノタウルスのロードが増えてたんですね。そうですかという気持ちが異様に強いですが、気づいてしまったからには組むのもいいでしょう。組むかー…モダンかな…



破滅の刻のニューカマー、『蠍の神』

f:id:counterflux:20170623231818p:plain
話は一巡し、もともとの議題に戻ってきます。「蠍の神は強いのか?」です。それでは様々な赤黒のカードと見比べてみましょう。

・5マナ6/5というスペック
死の国のケルベロスよりは小さいですが打点は同じです。スタンダード的に考えるとタフネス5はギデオンやハゾレト様のアタックにたまらず昇天するのでブロッカーとしては意味のないサイズですね。

・キーワード能力なし
雑魚ですね。快速ウォーカイト以下。

・3マナでマイナスカウンターが1個置ける
オリヴィア様よりも重い。載せた後は弱体効果が持続するものの、+1カウンターと相殺するので相手によっては後述するドロー能力が腐ります。スタンで緑黒をそこそこ長く使っててカウンターの置きやすさを考えると結構怪しい。

・マイナスカウンターが乗ってるクリーチャーが死ぬと1ドロー
現代マジックのスペックでタフ1の生物がどれくらいいるかってーとほとんどいない事になるので、除去兼ドローというよりも、相手の盤面をマイナスカウンターで止めつつ、アタックしてくるならドローするけどいいの?という牽制のための能力と判断するのが良さそうです。
一応自分の生物に乗せても1ドローはできますが、自軍生物にマイナスカウンターを載せるギミックは今のところ主にゾンビくらいにしかなく、ゾンビは軽さが信条の高速アグロなので、5マナでかつゾンビでもない蠍に出番はなさそうな気がします。

・手札に戻ってくるタイプの除去耐性
なんかこういうの見ると逆に何枚入れたらいいかわからなくなりますね。いいのかな雑に2枚とかで。
マイナスカウンターの能力も含め、自分から全除去に巻き込んだりするのがなんかよさそうに感じます。焼けつく双陽を始めにバントゥの最期の3マナ全除去とか、そういうのと併用してく感じになるんでしょうか。
こいつだけで盤面取りきることはできず、またゲームに勝つこともできなさそうなのが気になるところですね。

とはいえ使いたい

ダメなカードを愛していくのがデッキビルダーの原点だとするならば迷わず使ってあげるべきなのでしょう。
ちなみに他の二柱の神の登場に合わせていいとこ探しをしていましたが、他の2枚に比べて性能差が半端なさすぎてちょっと鬱病になってしまいそうでした。久々だなーこの感じ。
あとは当然のことではありますが、赤黒のカードが強いことと赤と黒のデッキが強いことは全くの別物です。自分に向けて言ってることでもあるんですが、最高レアリティのカードだけで測れるものなどほんの少しでしかないですし。とはいえそのほんの少しに拘っていきたい気持ちも必ずあるんですけどね。
蠍の神が何らかの間違いで手に入ったら、使えるかどうか色々試してあげたいと思います、今までそうしてきたように。
ここまで読んでくれてありがとう。