阿佐ヶ谷chillout

何もないから寒い

UR Gift Stormガイド

3人チーム構築戦で行われたGP京都2018、モダン担当の僕が持ち込んだのが「UR Gift Storm(赤青ストーム)」です。
コミケの原稿がひと段落して以降、3ヶ月ほど使い続けてそれなりに使いこなせるようになったので、備忘録も兼ねてプレイガイドを書いていきます。


ストームの強み - 高速のチェイン・コンボ

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バラルかゴブリンの電術師がいる状態で、けちな贈り物をキャスト&残り3マナ
相手からの妨害がなにもない場合、この時点でストーム20以上のぶどう弾へと繋がることが確定します。

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(具体的に書くとキャスト時に赤含む3マナがあれば、けちな贈り物で捨て身の儀式・発熱の儀式・炎の中の過去・魔力変の4枚を持ってきたとき、相手がどの組み合わせを選んだとしても炎の中の過去を唱えられる&赤マナが1つ以上浮く状態になるので、墓地に落ちた儀式がもう一度全部唱えられるようになります。
けちのキャスト時に浮きマナを作るためには手札から儀式を唱えるであろうことを考えると、フラッシュバックで唱えられるマナ呪文が墓地には4枚以上あるはずです。それらを順に唱え、もう一度大量の赤マナと、魔力変で少しの青マナを作ります。
そして墓地からけちな贈り物をもう一度唱えて、次はぶどう弾とマナ呪文を持ってきます。炎の中の過去が墓地にない場合はこの時にもう一枚の炎の中の過去を持ってきます。
それまでのターンに使ったドロースペルのフラッシュバックと、途中の魔力変でのドローで手札に加わった呪文を唱えてストームカウントを稼ぎつつ、ストーム20のぶどう弾か、ストーム9以上のぶどう弾を2発、もしくは1枚のぶどう弾を自分の差し戻しで手札に戻して、ストームによるコピー分のダメージ+もう一度ぶどう弾を唱えてフィニッシュです)

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主な勝ちパターンを書き出すと、
・2t目にクリーチャーを出して除去されずにターン帰ってきた場合は、3t目にマナ呪文2枚+けちな贈り物で勝ち。
・3t目にバラル→儀式→儀式→魔力変→けちでも勝ち。
・4t目にバラル→儀式→儀式→けちで勝ち。
・最速パターンは2t目に儀式→魔力変→バラル→儀式→儀式→魔力変→けちで勝ち。土地2枚も含めると9枚必要なので枚数だけ見ると後手2tでしか揃いませんが、魔力変のドロー2回の間に適切な分の儀式・けち・クリーチャーを引き込めれば7枚の手札から行けます。

ちなみに2マナしか浮きがなかったとしても、手札にどちらかの儀式が来れば問題なくフラッシュバックができる分のマナが供給されるので、浮きが2マナしかなかった場合は相手が「魔力変+炎の中の過去」を手札に加えるように選ばないと勝ってしまいます。
ここはストームを知らない相手には明確に差が出るポイントですね。
そして魔力変+炎の中の過去を選ばれたとしても、魔力変のドローがマナ呪文だった場合は勝ちます。

コンボデッキですので相手からの妨害が薄ければ薄いほど勝ちやすいですが、3t目以降は相手のフルタップの隙を突いてGOしたり、またはストームであることがバレた時点でクリーチャーを出しまくって対処を強要したり、バラルとゴブ電を両方並べることでけちと炎の中の過去をさらに軽くして儀式の枚数を少なくして勝ったり。
自分の儀式呪文に差し戻しを撃ってバラルのルーティング効果を誘発させて手札を良くしながらストームを稼いだり、手札からぶどう弾→差し戻し→ぶどう弾→差し戻し→ぶどう弾で20点削りきったりと、手札やマッチアップによって様々なフィニッシュまでのルートが狙えるのが強みでありこのデッキの醍醐味です。
「対応されなければ勝つ、対応されても少なければ勝つという」、バーンや親和と同じ高速デッキのプレッシャー、つまり「圧」を持っているのがUR Gift Stormというデッキです。

サイド後の地獄を乗り切るために

メインは相手のデッキに入っている「妨害カード」の枚数によって有利不利が決まりますが、サイド後は当然のごとく妨害カードが増えます。
そのためメインと同じ構成=けちコンボのままではサイド後に地獄を見ることは明らか。
そこで「攻めの軸」を変えるために、「パズルの欠片」「巣穴からの総出」がインされます。

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パズルの欠片はけちよりも軽く、持ってくるカードが選べない代わりに手札を(だいたい)2枚増やす効果があります。
副次的に選ばなかったカードが墓地に落ちる効果もあります。
2tバラル、3tパズルで得た2枚+手札の中で儀式・魔力変・パズルの3枚が揃った場合、マナを増やしながらそのターン中にもう一度パズルを唱えることができ、連鎖がつながります。
連鎖する中で墓地へ儀式が落ちたり手札に炎の中の過去が来たりすればフラッシュバックもでき、パーフェクトにパズルが繋がるとぶどう弾でそのターン中にノックアウトすることも可能。

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確実に止めなければ死ぬことがバレているけちな贈り物と違い、撃たれた時点で死が見えないパズルの欠片は、ストームの構造を知らない相手からは非常に弱く見えます。
サイド後にけち1パズル4のように残した場合、相手はハンデスでけちを落とすことがほとんどですし、けちよりも軽いため早いターンに撃つことで打ち消しをかい潜る効果もあります。
土地などの不要なカードが同時に落ちるため大祖始の遺産の1枚追放の効果は効かなくなり、全追放能力の起動を強要することもできるなど、妨害が増えたサイド後にはけちよりも輝くベストマッチなカードです。

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そしてもう一枚が巣穴からの総出、通称ワーレン。
バラルたち軽減クリーチャーへの単体除去と、けちや炎の中の過去を狙った打ち消しを無力化するカードです。
2t目に儀式→儀式→魔力変→ワーレンで8体、3t目にバラル→儀式→スタックで除去呪文を食らう→儀式→ワーレンで10体などが理想です。
ゴブリントークンに対処する全体除去を入れるという考え方が周知されていない間は、墓地対と単体除去でキープした相手を轢き殺すシーンが多発していました。
ぶどう弾でフィニッシュするよりも少ないストーム数で済み、何より軽減クリーチャーに依存しないことから、パズルの欠片で集めたパーツから簡単に投げつけることができるというわけです。


ここまでがURストームの基本編です。
ここからは実際にGP京都で使ったリストを見ながら話を進めていきます。

Creatures:7
4 Baral, Chief of Compliance
3 Goblin Electromancer


Spells:36
1 Noxious Revival
2 Opt
1 Repeal
4 Serum Visions
4 Sleight of Hand
4 Desperate Ritual
3 Grapeshot
4 Manamorphose
4 Pyretic Ritual
3 Remand
4 Gifts Ungiven
2 Past in Flames


Lands:17
1 Flooded Strand
3 Island
1 Mountain
2 Polluted Delta
4 Scalding Tarn
4 Spirebluff Canal
2 Steam Vents


Sideboard:15
1 By Force
2 Lightning Bolt
1 Echoing Truth
2 Pyromancer Ascension
2 Blood Moon
4 Pieces of the Puzzle
1 Wipe Away
2 Empty the Warrens

dig.cards

URストームのさらなる応用編

上記までのパズル+ワーレンのプランでは、結局対ストームを考えるデッキからすると「除去と墓地対にこだわらず、ゴブリンに対する全除去をキープしておく」というプランによって実は攻略されてしまいます。
特に墓地を使わなければ腐らせられる墓地対策カードと違い、全除去スペルは「複数引いたしゴブリンやバラルと交換できるならオッケー」みたいな流れでフワッとした1:1交換にも使うことができるので、こちらのインアウトがバレていると非常に入れやすいカードでもあります。
早いターンに10体以上のゴブリンが出せれば2パンで終わらせるチャンスはありますが、ややリスキーなことは変わらず。
具体的には墓地対、単体除去、全除去、ハンデスに加えてクロックそのものもなかなかに速いジャンドとのマッチアップが、最後まで改善されませんでした。
禁止改定で解禁した血編み髪のエルフそのものは、4マナソーサリーと大ぶりな動きですし、こちらがクリーチャーを出していなければ除去が腐るので、続唱もストームにとってはそこまで効果的ではないものの、他のデッキに対してはやはり強力なため、ジャンドが一定数持ち込まれることは間違いありません。
9tableのらだと調整していても大会で当たっても、一向にマッチアップが改善しないこの状況に対し、僕を含めた世界中のストームプレイヤーが見つけたサイドカードが二つ存在します。


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一枚は「血染めの月」
これは全除去とハンデスを同時に使ってくるようなデッキが皆多色デッキだったことへの回答です。
メタゲーム上ではジャンド等のフェアデッキへの回答として、井川さんがガイドを書いたGBトロンもにわかに増えてきていたので、不利だと思うことはなかったものの対策を厚くする分には良いかなと思いました。
このデッキならば後手2tに儀式から貼れるのもポイントです。
もともとドロースペルを撃つ際にデッキ内の土地の数を調整したい欲があったため、長らくフェッチランド型のストームを調整していたのもあり、このカードは結構馴染みました。
ただしあくまで展開に蓋をし、対処を迫ったうえでその横をコンボを決めていかなければならないので、貼った上で負けることも何度かありました。
パズルの欠片で手札に加えることができないため、初手+実質1t目のドロースペルの内容までで見つかるかどうか/唱えるかどうかを決めなければならない部分が難しく、ストーム本来の動きと噛み合わない部分で裏目を引くことも。
マッチアップを理解していなければ使いにくいカードです。

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そしてもう一枚が「紅蓮術士の昇天」です。
バラルがこの世に生を受けるまで…もしくはギタクシア派の調査が禁止を受けるまで、赤青昇天というデッキが存在していたことを考えると、ある意味先祖返りと言えるのでしょうか。
ストームのルートはどれも儀式連打からのドロースペルによってストームカウントを稼ぐ動きがベースとしてあるため、手札の枚数が特に重要であり、数回のハンデスを喰らうだけで機能不全に陥ります。
具体的にはグリクシスコントロールから思考囲いを瞬唱の魔道士にフラッシュバックされた瞬間にかなりヤベーイことになりますし、ジャンドに対しても、1tハンデス2tタルモのち、3t目のリリアナの黄金パターンを顔面に食らった瞬間目の前が真っ暗になります。
ジャンド系デッキへの対抗として、解禁した神ジェイスを最も使える存在として、青黒系のコントロールが一定数いるという読みだったために、なんらかの対抗手段が必要であることは明らかでした。
紅蓮術士の昇天は戦場へ着地さえすれば、ハンデスとクリーチャーへの除去・コンボ中の墓地対策を全て無視して勝利することのできるカードです。
血編みでの続唱の裏目を回避する目的で、突然の衰微の枚数が全体的に減っているし、月も含めエンチャ・ファクト系の破壊スペルがサイドから取られることはまずないと思い、コントロール戦の耐性が上がるならいいだろうと万の眠りの枠を全てこの昇天にしました。
実際はMOで青黒コンのハンデス連打に対し、ハンドゼロ→トップ手練1枚からそのターン中に勝利したり、 GP本戦でも対ジャンドへ綺麗に昇天ストームが決まったものの、リストをよく理解していなかった青白コンと、撹乱する群れまで取られたつばさSNPIのURコントロールには負けてしまいました。
黒くない、青系のコントロールのみを見るなら万の眠りの方がきっと良いんだろうなと今では思います。ジャンドとグリクシスが心底憎かったのでしょうがないですが…。

細部のカード選択

若干基礎的な話に立ち戻りますが、他にも細かいパーツ選択に関して書いていきます。

・手練vs選択

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血清の幻視4枚はどのリストでも取られていますが、残りの6~7枚のドロースペルに関しては人によって評価が分かれるポイントだと思います。
僕はこの判断基準がマリガンにあると考えました。昇天のくだりで書いたように、ある程度の手札枚数がないとコンボを決めに行くことができません。
そのため1ターン目から使うことができるドロースペルの中でも、キープできるものとできないものをハッキリと決めていました。

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結論から書くと1ターン目のハンドが土地1幻視、もしくは土地1手練1ならキープしますが、土地1選択1ではキープしません。
血清の幻視は1ターン目から3枚のカードにアクセスでき、占術で下に送れば次のターンの4枚目のドローまで期待できるので2枚目の土地を探すにはピッタリです。
土地を探す目的では選択も手練もアクセスできる枚数には代わりがありませんが、手練の場合は土地でないカードの中でも、よりよい方が選べます。
たとえ土地が1ターン止まるとしてもより多くのマナ呪文を引いていれば、最速2tキルのときの動きへと繋げることが容易だと考えました。

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選択を優先する理由の一つに、「差し戻しの構え損をケアできる」という点もあるのですが。
去年の12月頃からのリストの変遷を見ていたところ、最初に4枚入っていた差し戻しが、差し戻し3:非実体化1→差し戻し3→差し戻し2:非実体化1とその数を減らしていっていました。
構えることによるメリットがメタ的にも減ってきたとみて間違いなさそうですね。
(細かい話ですが、インスタントのドローはランタンコントロールとプレイするときに特に重要になるらしいのですが、4ヶ月くらいプレイしていて運良く一度も当たらなかったので、そこはどうでもいいとしておきます)
また今回のリストではサイドから月や昇天などを入れる関係上、土地以外を探す展開も多くありそうですし、それらのカードが機能している状況下ではなおのことインスタントであるメリットは薄れていくと思いました。
サイド後に稲妻や四肢切断などのインスタント除去が増える場合には、選択が多い方が柔軟に動けると思います。

選択vsその他のドロースペル

枚数も少なくキープ基準にもなりえない選択は、毎回サイドアウトするカード筆頭でもあります。
それならばドロースペルであってもいいのではないかと考えたプレイヤーによって、試しに投入されていたカードがいくつか存在します。
自分でも試しはしましたが結論から言えばどれも一長一短で、結局は裏目を嫌った消去法で選択を入れているように感じました。
個人の好みで変えてもいい部分ではあるので、これからプレイするつもりの人は色々な試行錯誤を楽しんでみるのもいいと思います。

→深遠の覗き見

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2マナで5枚見てインスタントかソーサリーを加えて残りをボトム。
試したカードの中では結構好みでした。特にコンボ中に撃ったときの強さは抜群です。
クリーチャーを出し、除去されずにターンが帰ってきたものの、コンボに移れるハンドではないというときに、1マナのドロースペルを撃ってもリターンは少ないのですが、このカードから入ると非常に気持ち良くコンボに移行できます。
ただしクリーチャーと土地は手札に加えられないため、裏目を回避するためには他の何かで工夫する必要があります。
具体的には土地18でフェッチ型にするとか、クリーチャーを6枚にしないとかを試しているリストを見たことがあります。
一応「秘儀」なので捨て身の儀式を連繋することができますが、もともとのサーチ能力が強すぎて連繋をしなくてもコンボが安定して決まる印象でした。
サイドに月と昇天がなく、特定のインスタント/ソーサリーで対策としたい場合には一考の余地があります。

→予期

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3枚めくって1枚手札、残りをボトム。
深遠の覗き見と比べて土地やクリーチャーを加えることもできますが、アクセスできる枚数は血清の幻視とほぼ変わらずに2マナという重さだけが気になりました。
コンボ中は血清の幻視→占術で残したカードを魔力変でドローという流れが多く、軽減して撃ってもリターンの少なさが気になりました。言ってしまえば中途半端。
選択と散らす意味もあまりないですが、入れても1枚でしょう。

→アズカンタへの探索

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→2マナ設置、毎ターンドロー前にトップ操作(墓地かトップ)。
他のドロースペルと違い、設置しただけでは手札が減り、コスト軽減もできません。
墓地に落とす効果も、基本的には「土地は足りてるからいらない」「クリーチャーは手札にあるからいらない」という感じで、スペルであればだいたい手札に加えるために、このカードによって墓地が充実するということもあまりないです。
裏面へ変身するとやっと手札が増やせるものの、アズカンタの設置を許してくれるような遅いコントロールデッキには、現在のメタだと廃墟の地がガン積みされているため、ハンドを増やせずに終わることの方が多く…と全体的に噛み合わないカード。
いつかお呼びがかかることがあるかもしれませんが、今はまあ、なくても大丈夫でしょう。

→商人の巻物

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青のインスタントを1枚加える。
基本的に差し戻しかけちな贈り物しか持ってくる択がなく、メインでけちを5枚入れたい派の人がたまに使うくらい。
しかしメインボードのフリースロットに撤廃を入れる構成であれば、商人の巻物を入れる可能性が十分あるように思えました。
具体的にはカンパニー/ヘイトベア系のデッキがもっと隆盛し、置物やクリーチャーをどかす必要が増えてくる場合は、このカードがうまく使えるシーンがあるかもしれません。
手元に持っておいたり、覚えておいたりする必要はあると思います。

フェッチvsダメラン

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一般的には安くて簡単という理由でダメラン型の方が多いですが、僕は長らくフェッチ型を使ってきました。
サイドに月を取る関係上フェッチ一択になるんですが、それ以外にも血清の幻視の占術でガッカリしたくないという部分があります。
ダメラン型の場合、けちな贈り物を撃つとき以外にデッキのシャッフルをすることができません。
2枚目の土地がないからという理由でボトムに送ってしまったカードに再アクセスすることができず、メイン1差しの撤廃に再会できないまま終わる試合もあります。
シャッフルしたところで確実に探せるわけではないですし、弱気な理由かもしれませんが、自分の中ではかなり重要な要素の一つです。
フェッチ型も、血清の幻視の占術が無駄になる裏目が往々にしてあるため、機能としては一長一短。
土地を複数引く確率も、特に計算してはいませんがあまり変わらないような印象です。引くときは引く。引かないときは引かないのだ、と。
…ちなみに1tからフェッチ切って手練みたいな動きが基本なので、ストームであるとバレるのは実はすごく早いです(手練を使うデッキが他にほとんど存在しないため)。
選択を優先する型の場合はギリギリまで偽装できる可能性があるので一考の余地があります。

有毒の蘇生について

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このカードはメインボードのブン回りには全く寄与しない…必ず手札をライフを失って、マナも出さず、軽減効果もありません。
マッチアップによっては全く不要なカードになるのも事実です。
しかしこのカードはストームデッキの持つ「対応されても勝つ」部分の一つで、5t目や6t目まで伸びるようなロングゲームになればなるほど、このカードは力を発揮します。
序盤に使った差し戻しを戻してターンを稼いだり、除去を撃ちすぎてフルタップなのを確認してからエンドにしれっとクリーチャーをトップに戻したり。
何より大事なのはけちな贈り物の選択肢が増えることで、結果として望んだカードを手元に持ってくることができるようになります。
5〜6t目までゲームが伸びるときというのはだいたいクリーチャーが引けないor枯渇した場合で、けちを2枚以上引いていてコンボターンとは別に撃つ余裕がある場合は、一枚目のけちな贈り物をクリーチャーを持ってくる目的で使えるため、明確にこのカードがあったほうがいいと感じます。

そしてお互い対応するカードが増えたサイド後のマッチアップでも、ロングゲームが予期される場合にはこのカードに出番があります。
RIPや黒力線には無力ですが、その他の墓地対策からなら重要な1枚を戻せる。何よりも紅蓮術師の昇天を使うとき、このカードの価値は値千金です。
ただしこのカードを入れるスロットのためにクリーチャーを抜くことが多いのも事実で、そこは全体のメタを見極める必要があると思いました。
最終的にはクリーチャーが7枚、有毒の蘇生を1枚入れるという構成になりましたが、僕はこの変更にとても満足しています(翻訳記事にありがちな構文!)。
結局はメタ次第の部分もありますが、親和やタイタンシフトのようなこちらのクリーチャーが阻害されにくいデッキが多い場合には、有毒の蘇生の出番は殆どないでしょう。
今回想定されたようなジェイス入りのコントロールや血編み入りのミッドレンジがいる場合には、このカードを頼るのも悪くないと思っています。

撤廃

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メタゲームが変遷していく中、5C人間が増えるのに合わせて差し戻し4が差し戻し3:非実体化1に変わっていきました。
ひとえに翻弄する魔道士をどかさなければぶどう弾が撃てず、メイン戦で勝てなくなってしまうからです。
そしてメインのぶどう弾が2枚になったりクリーチャーの枚数を減らしたりすることで生まれたフリースロットに、稲妻や四肢切断などの対応カードを数枚入れる構成のリストが考えられました。
僕も様々なバウンス呪文を試しましたが、最終的には撤廃1枚に落ち着きました。
具体的には呪禁オーラが数を増やし、メインから神聖な力線をどかす必要が出てきたからです。
大量のドロースペルと、けちによるサーチ+有毒の蘇生もあるので、デッキに入ってさえいれば引ける可能性は決して低くはありません。
「なければ負ける」という相手がいる以上、確実に1枚は取るべきカードだと思います。

島or冠雪の島

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けちで冠雪の島を持ってくる可能性は、ゼロだとは言い切れないものの、多分僕やこれを読んでいるあなたがなんらかの事象によって、楽しみにしていたグランプリに出られなくなる確率よりも低いだろうと感じています。
それにブラフが機能するシーンは少ないと書きましたが、ダメラン型ならいざ知らず、せっかくのフェッチ型で利点の一つを消してしまうのも勿体無いでしょう。
何より僕はアンステーブルの基本土地が探しやすくて本当に気に入っているので、ここを冠雪の島にしたいとは思いませんでした。サイン入りの冠雪の島とか、アイスエイジ生まれだとかでなければ、お好きな島を使えばいいと思います。


各デッキに対するマッチアップとサイドボーディング

この部分は本戦前に先んじてテキストを書いていた部分で、当日印刷して会場に持って行き、本戦中に何度も確認した部分です。
思い出もかねて書いて持って行ったメモ部分は字色を変えてそのまま記載しておきます。
結果は個人成績で6-2でしたが、3-0してからの4戦目以降はチーム負けが続いたので、総合的に見たら格上の相手とは当たっていないのかもしれません。

ジャンド:

in:血染めの月2、紅蓮術士の昇天2、パズルの欠片4、巣穴からの総出2、稲妻2
out:選択2、ゴブリンの電術師2、けちな贈り物3、ぶどう弾1、差し戻し3、撤廃1

月とアセンションを駆使した読み合いと噛み合い。ワーレンを入れない/肉を入れないor減らすなど流れでうまくやる。差し戻しは抜いて、パズル4けち2みたいな構成にするのが決めやすくて良い。月が一番勝ちやすい。

・メタ的にゴルガリチャームの枚数が減っていて本当によかったです。ワーレンも月も昇天も止められてしまうので。ゴルガリチャームはジャンド同型を考えると環境から減るカードだと思っているので、昇天はその隙を突くのに適したカード…と格好をつけておきます。
・基本的なサイドの考え方として、ハンデスや火力、2マナ以下のスペルが多いデッキに対しては差し戻しを抜いた方がいいです。明確な打ち所がないですし、サイドから入れたカードを直に引くほうがコンボに移行するのが早いので。

5C人間:

in:稲妻2、残響する真実1、(パズルの欠片2)
out:差し戻し3、(選択2)

相手の対策カードは墓掘りの檻2、イゼットの静電術師2が限界。差し戻しを抜いて稲妻とバウンスであとは噛み合い狙い。こちらの出したクリーチャーが死なないなら遂行速度重視で選択をパズルにするのも良い。負け筋には反射魔道士と翻弄する魔道士が絡む。

・相手先手で毎ターン反射魔道士が出てくるとかきついです。こちらが先手なら2tのサリアもぶどう弾で処すところからコンボが始められるので、結構な先手ゲーの様相になります。
・単純な火力の追加はカマキリの乗り手のみなので、土地とバイアルのカウンターを見ながらラストターンを意識する必要もあります。

バーン:

in:稲妻2、巣穴からの総出2、パズル4
out:差し戻し3、選択1、けち4

ワーレン2t8体・3t10体を目安に全力で走る。肉多めでキープして、盤面に焼尽の猛火以外の火力を使わせて時間稼ぎをするルートもある。ストームを極力稼ぎたいので、腐る覚悟で有毒は抜かない。先手の占術はなるべく土地を上に置くこと。ゴブリンガイドの噛み合いを期待したりしないと勝てない。

・実はジャンド以上のワーストマッチアップです。結構な回数調整しましたが、全く相性がよくなりませんでした。バッチリストームの噛み合う手札まで気合い入れてマリガンするか、サイドにドラゴンの爪か神聖の力線まで入れるかしかなさそうです。
・GP京都二日目のメタゲームブレイクダウンではバーンが一番多かったため、練習と分析が至っていてもストームを持ち込むのは下策だったかもしれません。全ては結果論でしかないですが…。

トロン:

in:血染めの月2、力ずく1、パズル4、ワーレン2
out:選択2、けち3、ぶどう弾1、ゴブ電1、有毒の蘇生1

まずGBかGかの判断。サイド後にGBの場合囲いと蛮行、Gのみの場合はチャリスサージカル。GBの場合は差し戻しを抜いたほうがいいかもしれない。結構相手の習熟度による。真実よりは破壊放題のほうがよさそう。基本は月で勝つ。パズル4けち1くらいはアリ。

・メインから遺産4がデフォルトの有色トロンですが、土地をある程度延ばしてから炎の中の過去を撃ち、相手が遺産を起動させてから炎の中の過去の解決前に手札のマナ呪文をインスタントで唱え、けちまで繋げるルートで勝つことができます。相手が遺産を起動してこなかった場合のストームカウントも含めて試算した上で走り出せると良いです。GRエルドラージなど墓地対策を遺産にのみ頼るデッキは少なくないので、ここはなんとしても練習しておくべきです。
・ちなみにGP京都の段階ではトロン使いの習熟度に差があることを感じていました。チーム戦で一度Hareruya Prosの井川さんとやったときは、差し戻しされると莫大なテンポ損になるカーンとワムコを唱えずに遺産で時間をひたすら稼ぎ、こちらがコンボに行きそうな直前のターンのみハンデスを撃ち、打ち消されても問題ないウラモグを連打することで勝つというプランでした。そういった「理解」っている相手には差し戻しを抜く方が良いかもですが、相手に撃たなくとも自分のぶどう弾に撃つ使い方もルートとしては残るので難しいです。

ミラー:

in:稲妻2、残響する真実1
out:選択2、撤廃1

ディスペルが見えたらけちを抜いてパズルで詰めること。ワーレンはいらない。あとは祈る。

・揃ってないけどドロースペルの見切り発車でGOするパターンか、差し戻しを構えていないことを看破されて走り出されるかのどちらか。結構ポーカーと坊主めくりの合いの子みたいなゲームになります。考えることは多いのに一向に有利にならないので、プレイしている時は楽しいけど負けると本当に意味がなくてつらくなります。

ジェスカイテンポ:

in:血染めの月2、紅蓮術士の昇天2、パズル4、ワーレン1、稲妻2
out:けち4、差し戻し3、選択2、ゴブリン1、ぶどう弾1

呪文捕らえヘリックスのテンポ型にジェイスが入ったもの。コントロールとの見分けは廃墟の地とメインからアズカンタを置くかどうか。パーマネント除去と墓地対が薄いので、月と昇天で勝つ。着地させられるかどうかが非常に重要なマッチ。スネアは1しかないので否認とロジックノットを警戒する。海外メタだが全除去が多いのでワーレンは減らしてもいいかも。

・せばニキがPTで持ち込んでたようなやつ。昇天がない場合、万の眠りを相手のアップキープに全力で撃ってタップアウトさせた返しでコンボ開始みたいな形になります。そういう場合に打ち消しで返されて、相手が土地1のみ立たせてエンド、という状況が想定されるなら拭い捨てまで入れたほうがいいです。今回のような昇天フィニッシュ狙いの場合は、1刺しのカードが多くても意味がないので入れていない、という理論です。

呪禁オーラ:

in:残響する真実1、稲妻2、拭い捨て1、パズル4
out:差し戻し3、選択2、けち3

メイン白力線が3か4、コンボ前にリピールを撃ってバウンスし勝つ。2枚貼られたら有毒と絡めて2回打つとか、探して手札に加えるとかの工夫が必要。マナもすごくかかるので連繋をしっかり狙ったり、慎重にプレイすること。ギリギリまで引きつけてコンボで決める。
打点は宝冠が+3、怨恨とひるまぬ勇気が+2、天上の鎧はエンチャの数ぶん+1、コーの踊り手は1枚につき+2。絆魂はメインだと宝冠とひるまぬ勇気のみ。グリフの加護が入る場合はひるまぬ勇気がなさそう。
サイドからはパス、魂の絆、RIPがそれぞれ2ずつ。バウンスとパズルをガン入れしてあとは祈る。稲妻も踊り手に撃ちたいので入れる。抜くのは差し戻しと選択。相手は力線かRIPで必ずキープするため、打点はそれほどでもなく、噛み合いが悪くなければチャンスはある。打点やストームを計算しながらお互い慎重になるので時間にだけ注意。

・本当に時間には注意です。相手がライフ回復した分を削りきれないことがそれなりにあって、ターン数は短いのに難度の高いゲームになります。バウンスさえ見つかれば悪いマッチアップではないので、頑張っていきましょう。

ホロウワン:

in:残響する真実1、稲妻2、拭い捨て1、パズル4
out:差し戻し3、選択2、けち3

基本は祈る。メインは超噛み合い。サイド後は力線かヴェリアナの選択と、爆薬とFPと追加の蛮行は確定。ゴブ電のリスクがデカいので減らしてもいいっちゃいい。
相手は炎刃スタートか力線でキープしてくる。炎刃スタートでなくても3t4tでクロック12点とか普通に出るためそう長く待つわけにもいかない。ショックインも少ないのでワーレンでゲームが終わることはほとんどなく、空中や威迫で壁としてもあまり機能しない。パズル4けち1くらいであとは祈るみたいな形になってしまいがち。日々の徳を高くするのがコツ。

・らだと二日くらいかけてスパーしていたほか、ちゃんと落ちている空き缶やペットボトルを拾ってはゴミ箱に捨てる生活をしていたため、練習のチーム戦でも本戦でもホロウワンには全て勝ちました。最終的には噛み合いですが、集団的蛮行で全てを失なうルートが一番大きい負け筋なので、ゴブ電のキャストするタイミングには注意しましょう。

親和:

in:稲妻2、力ずく1、拭い捨て1、残響する真実1
out:差し戻し3、選択2

感電波以外に止める手段がない。一応返しで死なないように盤面にぶどう弾を撃っていく。サイド後はピアース、思考囲い、檻、法の定めなど、基本は置物が増えるので、ファクト破壊もバウンスも入れていく。ワーレンはいらない。差し戻しは抜く。

・破壊放題を2取らなくても盤面に触れうるカードが5枚あれば勝てるなあという印象だったので、相手よりも出遅れない自信があるなら力ずくの枠は非実体化か、他のデッキを見る用に万の眠りとかにしてても良いような気はします。

ポンザ:

in:稲妻2、力ずく、残響する真実1
out:ゴブ電1のほか、後手/差し戻し3 先手/選択2、有毒1

先手ハメされるとほとんど返せないので気にしないでおk。相手も探す/止める手段は本当に少ない(メイン稲妻2本、チャンドラ1)ので、走れる瞬間には走る。後手の場合は間に合わない場合が多いので差し戻しは抜く。サイド後は神々の憤怒3、3玉2。ワーレンは安定しないので入れなくてもいいような気はする。稲妻と破壊放題だけ入れて噛み合い期待が丸そう?

・サイドから三球が入ることを忘れないようにしましょう!

ドレッジ:

in:巣穴からの総出2
out:撤廃1、ゴブ電1

メインは燃焼を肉に撃てるかどうかみたいな形。サイド後は囲いディケイ蛮行。ゴブ電を出すなら3t以降が丸い(2tに失うとテンポがヤバい)。毎ターンアクションが大きくなる関係上差し戻しのチャンスは結構あるはず。

・ワーレンを入れるのは虚空の力線ケアですが、練習含め一度も当たらなかったのでよくわかりません。

グリクシスコントロール

in:紅蓮術士の昇天2、巣穴からの総出2、パズルの欠片4
out:差し戻し3、選択2、けちな贈り物2、ゴブリンの電術師1

思考掃きを自分に打つタイプ。コラコマ+スナキャスかジェイスで勝つ目的があり、メインは我慢できずにジェイスを置いてくることもある。カラー的に打ち消し除去ハンデスと全てが辛いが、着地した昇天に触れる術がない。全除去は滅びと憤怒と少なく、ワーレン6体でも押していける。月は廃墟の地がガン積みされている影響で賞味期限がものすごく短い。差し戻しと選択を抜いて昇天ワーレンけち少し残し。コラコマと蛮行のいい的になるのでゴブ電は少し減らしても良い。

・この頃のグリクシスコントロールハンデスと廃墟の地マシマシ、瞬唱の魔道士でコラガンの命令を使いまわして勝つみたいなやつです。コントロールはこれか青黒が主流になると思っていましたが結果は青白が主流だったようです。

セレズニア/カウンターカンパニー:

in:稲妻2、残響する真実1、拭い捨て1、パズルの欠片2
out:選択2、有毒の蘇生1、ゴブリンの電術師1、差し戻し2

黒が入っているかどうかをまず見極める必要がある。メインは妨害手段がほぼなく(アブザンの場合漕ぎ手がいるくらい)、相手のコンボが決まるかどうかの勝負になる。サイド後はアブザンの場合パス、枚数は少ないがサージカルやディケイが入る。セレズニアの場合は弁論の幻霊やサリアなどで蓋をしてくるパターン。共通して召喚の調べからのウーズ。RIPや檻などの墓地対策は全く入らないことに留意。
入れるのは稲妻と、ディスペルがあればそれも。カウンターカンパニーの場合は間に合わないのでリピールを抜いてもいい。truthは入れ得感。けち4パズル2みたいな構成で超探すモードが板。スピードが大事。ワーレンではゲームが決まらないので入れない。差し戻しでコンボを止めてもかなりしょうがないので減らすのもいい。

・神挑戦者決定戦の前後に二色でまとめたタイプが主流になっていったのを感じます。総合的にはあんまり勝てなかったので対戦相手の調整がすごく真に迫っていたか、もっと別のアプローチで対策した方がいいのか、という感じですね…。

ナイトフォール:

in:稲妻2、残響する真実1、拭い捨て1、巣穴からの総出2
out:選択2、ゴブリンの電術師1、差し戻し2、ぶどう弾1

墓地対がない代わりに呪文捕らえと統一された意思がいるので正直とてもつらい。肉多めのデッキなのでワーレンで勝負が決まることもほとんどないが、弁論の幻霊を出された後で少しずつバウンスを探すよりもバウンスや稲妻でワーレンのバックアップをする方が良さそう。1t2tまでは相手も肉を出したいので打ち消しが絶対ないとわかっているタイミングで軽く仕掛けるのがいい。色拘束は結構きつくてそれなりにショックインするため弁論の幻霊さえどうにか避ければ、ぶどう弾で終わらせることはできる。サイドにアライアンスあるかも。

・2色カンパニーと異なりこのマッチでワーレンを入れるのは、コンボハンドと妨害可能ハンド以外に呪文捕らえを構えるハンドでも相手がキープしてくる読み故です。
・正直なところ、妨害とクロックを同時に仕掛けてくる呪文捕らえはバーンの大歓楽の幻霊に並ぶほどの辛さ。結局マナクリを焼いて月で蓋をしたけど相手が森を持っていて、渾身のカンパニーがスカるという豪運パターンでしか勝てませんでした。同じ理由でバントスピリットとかURフェアリーとかもかなり終わっているマッチです。

死の影:

in:パズルの欠片4、紅蓮術士の昇天2、残響する真実1、拭い捨て1
out:差し戻し3、けちな贈り物3、ゴブリンの電術師2

現環境では5Cの横断型かグリクシスカラーに集約される。ハンデスも打ち消しもあって辛いがライフが減りやすいため、メインはぶどう弾と差し戻しをかき集めて撃つ。横断もSCMも墓地を使う関係でサイド後の墓地対が薄い。差し戻しは抜いて稲妻は入れずに、時間稼ぎのバウンスで。ワーレンは決まりそうに見えて横断からの静電術師などがあるので結構裏目。入れないが板。けちも残したいが、軽蔑的な一撃だけが怖くて嫌になる。本当はFBも狙わないルートの方が楽。

・昔は除去モリモリなのでクリーチャーを全部抜いていたりしましたが、昇天で少しよくなるといいな、というマッチです。
・死の影自体がすごく繊細なフェアデッキで、ジャンド等が増えているこの時勢に死の影を持ち込んでいる=死の影の練習を積んできた剛の者である可能性が非常に高く、独自理論でのチューンがしてある場合が多いので、当たったら諦めようと思っていました。本戦では当たらなかったので耐え。


マルドゥパイロマンサー:

in:紅蓮術士の昇天2、稲妻2、パズルの欠片4、巣穴からの総出2
out:ゴブリンの電術師3、けちな贈り物3、選択2、撤廃1、ぶどう弾1

除去多すぎて草。ジャンドと同じようにきついが爆薬、憤怒、スペルボム、サージカル、蛮行とサイド後もきついカードだらけ。置物破壊が薄くなっているので、肉全部抜いて昇天に全て賭けるしかない。少なくともゴブ電は全部抜く。カンバールがありえん邪魔なので稲妻はしっかりと取ること。

・これも血編み復活のおかげで数を減らしていたのでそんなには気にしない相手でした。一般的には虚空の力線でなく虚無の呪文爆弾で墓地対策をしていることを知っていたのでバウンスを取らずに済んでいます。
・本戦まで対戦したことはありませんでしたが、大量のハンデスが飛んでくるかわりにクロック自体は大したことがないので後半にグダッて耐えたことと、消耗戦の末にワーレン8体まで繋げたら相手がストームの構造を知らずに全除去を入れていなかったため投了されて勝ちでした。
・1日だけ自分で組んで回していた経験が本番で活きたのが僥倖でした。情報はパワー。

青白コン:

in:血染めの月2、紅蓮術士の昇天2、パズルの欠片4、巣穴からの総出2
out:ぶどう弾1、選択2、けちな贈り物4、差し戻し1、ゴブリンの電術士1、撤廃1

動き出し自体は遅く、肉への除去がパスに限られるので、序盤から積極的に肉を置く。スネアがあるかどうかは人それぞれだが、選択までは取られないので立ててたら警戒。全除去は多いけどどれもそこそこ重いので、サイド後に2t6体出す→我慢できず除去撃った返しにぶどう弾が決まるみたいな流れが理想。RIPだけきついけど月よりは昇天で攻めていく形。ギガドロースがないと一生不利なまま負けることもあるけどご愛嬌。

・僕が調整段階で対戦したことのある青白コンはジェイス解禁直後のリストがあまり練られていなかったもので、その後一度も当たらず周りに青白コンを使っている人間がいなかったのもありリストの精査についていけていませんでした。前兆の壁や修復の天使を取る英知型か、ジェイス/天界の列柱でしか勝てない総受け型か、サイドから力線が積まれるのか否か、使い手が身近にいないとこういうマッチは本当によくなりませんね。情報はパワー。
・本戦で当たった時はサイド後の白力線を想定していなかったために、2戦目はデッキにバウンスがなく、3戦目はバウンスを増やしたら昇天狙いのバランスが崩れ、更に追加されたルーンの光輪も剥がせずと散々でした。

タイタンシフト:

in:力ずく1、残響する真実1、拭い捨て1
out:選択2、撤廃1

メインは焼けつく双陽2、稲妻3。サイドに檻1レリック2アンガー1。打ち消し耐性がほぼなく、ビッグアクションに対する差し戻しでターンを稼ぎまくれる。相手が積極的にマリガンしない限り有効牌キープもきびしいためサイド後もけち狙いで行く。月はメインに残る再利用の賢者で割られがち、召喚士の契約もあるので。

・基本的に余裕です。

白日スケープシフト:

in:紅蓮術士の昇天2、パズルの欠片4
out:選択2、撤廃1、ゴブリンの電術師1、けちな贈り物2

アズカンタとジェイスを手に入れてコントロール色を増している。メインからボルト3差し戻し4クリコマ3とデブく、サイド後も檻、爆薬、ディスペル2否認2、エレンドラアークメイジにアンガーとやりすぎ。これも置物破壊が減っているため昇天で一気に捲くるのがいい。差し戻しは唱え得っぽいので残して、撃てるときに撃っていくのが良さそう。

・一応直近のGPのエイトにいたので用意はしていましたが当たることはありませんでした。

URパイロ・ムーン・ブリーチ・フェアリー:

in:紅蓮術士の昇天2、パズルの欠片4、巣穴からの総出2
out:けちな贈り物4、撤廃1、選択2、ぶどう弾1

打ち消しは差し戻し、スネア、クリコマ2くらい。ボルトは4。SCM使う前提のデッキなので後半になればなるほど不利。昇天の設置さえ上手くいけば。サイド後もディスペル爆薬レリックアンガー2ずつでかなりヤクいがかろうじて墓地対策が薄い。とはいえディスペルと軽蔑的な一撃に刺さるのでけちは基本抜き、昇天パズル連打で決めに行く。早いターンに中野くんかヤンパイを置くのがパイロ、全く動かないのがブリーチ、フェアリーはクロックが早くずっと隙がないので割と諦める。

・練習段階ではメインからよくわからんのでジェイス置いてくるような相手としか当たらず、「理解」っている相手にしっかり対応されたら多分勝てないだろうなと思っていたら、本戦で当たって案の定勝てませんでした。
・青白コンよりもタップアウトする機会がなく、パスでしか除去れずに土地が伸びるという裏目もないので基本的に弩級の不利です。つばさSNPIとやったときはタップアウトしてきたのでこれは勝つる!と思ったら完璧に撹乱する群れを合わせられて心がボッキボキに折れました。

リビングエンド:

in:残響する真実1、拭い捨て1、パズル4
out:撤廃1、ゴブリンの電術師1、選択2、けちな贈り物2

けちと有毒を抜いてパズルとバウンスを入れ、あとは祈る。フェアリーの忌み者が止められないためにプレイングと祈りの勝負になる。truthは肉にしか撃てないので裏目がなくて良い。

・リビングエンドも死の影と同じように長く使ってる人だけが勝っているアーキタイプなので、大抵は「理解」られていてかなり難しいです。指導霊混みで2tのエンドに暴力的な突発→リビングエンドを差し戻し、返しにもう一枚続唱されて終わりみたいなパターンが主です。
・万の眠りが入っていた頃には相手のアップキープで土地に撃ったらサイクリングで避けられてそのままクリーチャーに殴りきられたことがあるので、そもそも土地に撃てないバウンスだと裏目がなくて良い、というメモです。

エルフ:

in:パズルの欠片4、稲妻2、残響する真実1、拭い捨て1
out:けちな贈り物4、選択2、差し戻し1、ゴブリンの電術師1

メインはオールインしてくるので祈りのゲーム。サイド後はレリックとRIPが1、ウーズ、コードからの弁論幻霊。除去スペルはなく、フルタップして毎回返してくるのでバウンス1枚から颯爽と切り返すのが板。ボルトはイラクサとか遺産のドルイド、1tマナエルフにしっかり当てていくこと。

・どのエルフに稲妻を当てればいいのかをわかっていることが大事です。体感ですが相手は妨害カードよりもきちんと回るハンドでキープして速度勝負を仕掛けてくることが多いように感じています。

GRエルドラージ:

in:力ずく1、血染めの月2、巣穴からの総出2、稲妻2、パズルの欠片4
out:選択2、ぶどう弾1、けちな贈り物4、撤廃1、差し戻し3

メインは祈り。どちらかというとエルドラージトロンに近いキルターン。メイン除去6枚ウーズ3枚、サイド後はレリック2檻2爆薬2までは固定でメタによりコジリタ2。対策カードでキープしてくるため破壊放題と月でチャンスを作っていく。稲妻は1tの教主かウーズにしっかり当てて。

・古きものの活性で爆薬やレリックをしっかり探してくるのがかなりきついです。月を置いてもマナファクトもマナクリもある。
・相手も活性と精神石以外にドローはないので、噛み合いを期待して日々の暮らしの中で淀みを無くし清らかな心で行きましょう。伏見稲荷大社の厄除けお守りがおすすめです。

BWエルドラージタックス:

in:巣穴からの総出2、パズルの欠片4、残響する真実1、拭い捨て1
out:差し戻し3、けちな贈り物4、選択1

2t以降出てくる肉が全てきついため正直諦めのマッチ。除去はメインFP1パス4と絞殺者2。サイドはRIPも幻霊もあって正直チンチン。全除去のみセトル1しかないので肉が生き残ることを祈ってワーレンを最大限ぶっ放す流れが理想。バイアルもたまくつもあるので差し戻しはぜってー残さない。除去はどこまでもパスメインなので肉は積極的に出す。追放ハンデスしかないからアセンション入れない。神聖な協力がサイド1あるかも。

・MOで空洞と数戦しかしていませんが、相手のリストを見れば見るほど鬱になったのでおそらくバーンに次ぐワーストマッチアップです。本戦で当たらなくて本当によかった。

マーフォーク:

in:パズルの欠片4、巣穴からの総出2、稲妻2
out:けちな贈り物4、差し戻し3、ゴブリンの電術師1

除去は四肢切断以外ないので肉は死なないが、メインはスペルピアース3に注意。呪い捕らえとキラも結構邪魔。サイドはレリック3。全除去は基本ないので差し戻し全部抜いて、ワーレンを少し待ってぶっ放す流れがよさそう。コンバットだけむずいので注意。

・フェッチ型だと厳しいですが、島渡りをケアできるときはしたほうがいいです。


Stormを使ってみて

UR Gift Stormを最初に手に取ったのは、DLCで二回ANTを練習して出場していたので、チェイン・コンボの面白さをモダンでもやりたかったから、という簡単な理由でした。
しかし僕は今までずっと黒系のデッキを好んで使ってきたため、最初の頃はハンデス/ピーピングからコンボに入れないことが怖くて、理由なく展開を先延ばしにしているうちにコンボに以降できないまま負けるということが何度もありました。
そこから仲間と何度もスパーをし、MOでもデッキを組んで、自分に自信をつけるまで一月ほど。
大会に出るようになった頃には相手の手札の予想を立てたり、わからないなりにぶっ放す判断ができるようになっていて、自分の視野が一段階広がったのを感じました。
一応ストームで出た大会は、GP京都本戦も含め一度も負け越しで終わることはありませんでした(多分)。
特にたかちゃん/たぬきちのトロン、らだのジャンドとホロウワン、よほろのバーンとは何度も対戦して分析した分の利が明確にあったと感じています。
練習中はコンボ中に考え込むことも多かったですし、相手からすると暇な時間も多かったと思うので、リアルの調整に付き合ってくれた仲間には本当に感謝しています。
MOでもStormを組みましたが、感想戦はできないし相手のインアウトもわからないので、複雑な盤面情報に慣れることと各種ドロースペルの使用感を確認するに留まったと思っています。

もう一つ、Stormを使い込んで気づいたことは、「相手がストームの構造を知っているかどうか」が勝敗を分ける大きいポイントだということです。
軽減クリーチャーからのオールインが想定できていない相手が土地を起き間違えたり、ハンデスの対象を間違えたり、サイドプランを間違えたりと、勝った試合では相手のミスによって拾えた部分が少なくなかったと感じています。
それは逆に自分が知らないデッキに対して対処がわからないまま負ける可能性があるということでもあるので、GP京都本番一ヶ月前は各デッキのプランニングを改めて確認していました。
当たり前かもしれませんが、闇雲にマッチをこなすよりも前に、各マッチアップのポイントを抑えておく必要があるということです。
その上で何が問題だったかを一つずつ確認していくことでやっと「対応の対応」が成立するんだな、と思いました。

これからStormを組みたい人へ

モダン環境は相手のショックインによって他フォーマットよりも相手の基礎ライフが上下しますし、ギタ調も禁止で打ち消し/除去を構えているかどうか確認はできません。
相手の手札を予想しながらプレイしていく必要があり、冒頭に記したけちのわかりやすいルートを辿ることはあくまでメイン戦の流れの一つに過ぎず、何度も複雑な盤面と手札に向き合って勝つルートを考える瞬間があります。
次に欲しいカードを引く確率の計算も、相手のハンドがわからないからこそのブラフを仕掛ける部分もあります。
何よりサイド後の、けちが無くなって相手からも妨害が増えた後のマッチアップはもっと複雑になるのです。
他のコンボデッキに比べて再録されてない高いパーツが何もないので、とりあえず安いから組むか〜と参入しやすいデッキではあるんですが、難しくて対して勝てないしコンボルートが長くても短くても相手は不機嫌になるしで、モノになるまでの間は結構しんどい思いをすると思います。

しかし呪禁オーラよりも柔軟で、親和よりも強い圧を持ち、ジャンドよりも速く相手を叩きのめせるこのデッキを、僕は心から気に入っています!(翻訳記事にありがちな構文!)
嫌な顔せず練習に付き合ってくれる仲間と、相手との読み合いやサイド後の「対応の対応」と向き合う精神があるなら、このデッキは決して悪くないと思います。


Stormはコスト軽減カードや呪文のコピー効果、新しいドロースペルが増えればもっと強化されていくアーキタイプだと思うので、ドミナリア以降の新カードにも期待しています。ヤヤ・バラードを使ってみたい!
何か質問とか感想は @_doublebind へお気軽に。
ここまで読んでくれてありがとう!