阿佐ヶ谷chillout

何もないから寒い

和久井健『デザートイーグル』

ジャンプ+の1000ページ無料みたいなキャンペーンで梅澤春人『BOY』を読んでたときからずっと思ってたことではあるんだけど、定期的に不良の出て来る漫画、所謂ヤンキーの漫画にどうしようもなく惹かれるときがあるわけです。ジャンル自体はそれこそ僕が親父のキンタマの中に生成される前のツッパリの時代から多分あった文化だと思うし『ウシジマくん』や最近なら『ギャングース』とか、実録っぽい雰囲気を出した世の裏側系漫画もある意味アンダグラウンドな人々を描いてるって意味ではヤンキー漫画って言ってもいいとは思うけど、僕に至っては昔ツッパってたわけでもないし非合法な仕事に手を染めてるわけでもない、だのになんでこんなにも惹かれるかねって思いながら和久井健デザートイーグル』を読んでたわけです、それこそKindleの期間限定無料の「ヤンキー漫画特集」で0円で買って。あっ今Kindleで1巻0円なんで全員買って下さい和久井健は『新宿スワン』が、漫喫で2日に分けての一気読みで一読しかしてないから細かいとこは覚えとらんけどあああ真虎さん!!!!!!っていう感情だけは残ってて、多分超面白かったってことだと思う。今回のデザートイーグルは青年誌じゃなくて少年誌のマガジンで、ここだけ2000年代のチャンピオンかなって感じの真っ直ぐな不良を描いてる。正しくは描いてた。新宿・歌舞伎町に巣食う巨大な悪の組織のトップが昔の知り合いで、新しく知り合った仲間たちを守りながらトップを高校生が打ち倒すっていうストーリーで、主人公の鷲尾一期(ワシオ・イチゴ)が「オレの拳はデザートイーグルじゃい!」つって超〜〜強い右ストレートを放つ、文面だけでクラクラしてきた人は今すぐ読んで欲しい。先に正しくは描いてたつった通り2016年の5巻で完結してて、後半に行くにつれ喧嘩のシーンが減っていき、回収されなかった伏線は多数あれどマガジンによくある早めに打ち切りを教えるアレによって、それなりの展開でちゃんとストーリーをたためてはいるもののもっと面白くなった気配だけはあったと、漫画としての感想だけで言ったらそんなもんです。ただこの表紙の装丁や単行本の扉ページのカットイラストに残る不良の…「不良」つって良くないって意味の字でしか表現できないもどかしさを感じるけども…この真っ直ぐさ。そういう節々にもうたまらなく、半端なく惹かれるもんがあるわけです。冒頭から続いてたこの魅力の根源と正体を、読み返しながら考えていて思い当たったのは、多分僕が小学生のときのドラマ『池袋ウエストゲートパーク』の影響*1、そのムーブメントだったんじゃないかと。現実世界の都市を舞台にしたギャングそして不良のストリートカルチャー。東京都は中野区で生まれ育って遠目に新宿のビル群を小学校の屋上から眺めながら育った僕には本当に強烈だった。どのくらい強烈だったかというと1話目をTVにかじりつくように観ていた+1話からエグめの描写が結構あったせいで2話目を母親がどうしても見せてくれなかったレベル。当時小学5年生。あれは悲しかったなー。デジモンテイマーズも前半は新宿が舞台になってたし「隣の街で凄いことが起きてるぞ」という感覚は衝撃的だった。ちなみに中野は昔から「オタクと老人が住む街」って言われるくらいクソ平和で一切のヤンキー文化が根付かなかったんですよ。中学校はあれど高校が杉並区まで行かないとなかった事とか急速に駅前の再開発が進んだこととかにも関係があるような気はする。とにかくこの『デザートイーグル』にはIWGPと同じ匂いがした、しまくっていた、過去形だけど僕にはそれで十分だった、読めてよかった。ちなみにヤンキーとストリートカルチャーに憧れた当時小学生の僕は居ても立ってもいられない衝動に駆られて池袋へと単身チャリを漕いで行き、残念ながらそこでアニメイトゲーマーズに出会ってしまったことで人生という名の道をヤンキーとは180°別方向に踏み外したまま育ち、中学二年で成田良悟デュラララ!!』を初めて読んだときに「あああ〜〜〜〜ミスった!!僕がもともと憧れてたのこっちだった!!」と気づいたものの時既に遅く、高校も秋葉原への近さと最寄りのゲーセンの音ゲー事情で選んだ結果友達ゼロのままたった一人で授業サボってbeatmaniaIIDXをしに行く生活になるんだけど、きっと憧れてたんだろうなあ、IWGPのマコトやデザートイーグルのイチゴのような反社会的だけど自由でダチのために全力でツッパるような奴に。最近傷心の友達から自分の持つ「呪い」に関しての話を聞く機会があったけど僕のこういうのも呪いって言うのかね。解けてるかどうかで言うと自信なくなってくるね。ちなみにエアロバイク漕ぎながら当時3巻までしか読んでなかったデュラララ!!を読み返してるし思ってた以上の速度で読み終わるしで、こんな感じで感想書くやつができるといいなと思っていますね。駿河屋から全巻届いたしすぐですね。あとは和久井先生が今マガジンで連載してる『東京卍リベンジャーズ』の1巻が出たばっかなので読んだんですけどこれはこれでまた違った良い漫画という話は今度に。あーオチがない文章の。デジモンテイマーズ牧野留姫さんがめっちゃ好きな話した?してない?じゃあそれもまた今度で…

*1:書いてる途中で池袋ウエストゲートパークの前にドラマ『サイコメトラーEIJI』も多分影響あったなと気づきました(当時小2)