阿佐ヶ谷chillout

何もないから寒い

fxxkin' decklog: "Apollo13" (Modern)

WARNING!!

A LONG ARTICLE
FXXKIN' DECK
IS APPROACHING FAST

警告:この記事はクソデッキが含まれています




0章:後悔編

情の選択はバカにされるし、僕もバカにしていたけど、結局勝負事はみんな情動のゲームなんだと思った。終わって落ち着いてから後悔がたっぷり押し寄せてくる辛さがあった。

decklog:5/27 Eldrazi Tron(Modern) - 阿佐ヶ谷chillout

情熱で敗れ去った千葉、情熱を信じなかった静岡、情熱に敗れ去った神戸…
半年で3つの激戦を経て、上記のように結んだ神戸直後のdecklog。
これからはお気に入りのデッキを使って腕を磨けばいい。
だが…内心は迷っていた。

心はいつでもタルモゴイフと共にある。
だが今までのグランプリは、否、グランプリに限らずGPTも神レガシーも、普段出ているイベントはどれも誰かの使ったデッキを調整して回していただけだった。
このままコピーデッキを回しているだけでいいのだろうか?
カードを入れ替えることを怖がり、最大公約数を探すだけの日々を続けていて…
それで本当に勝てる日が来るのだろうか?


今の僕に足りないもの…それはデッキを組み上げる力。無から有を作り出す力だ。
そうだ。自らの殻を、破る為に。


今、デッキを作らなくてはならない。




1章:邂逅編

最初は神戸から帰ってきて部屋の掃除をしているときだった。


机の上に散乱したままだった、ラッキーコイン。
知る人ぞ知る、ポケモンカードコイントスで使用するコインだ。
最初期のスターターデッキに入っていたものが初出だが、これは去年20周年の記念を祝って復刻した同じデザインのコイン。

去年マジックの反動でWIXOSSをやってたときに勢いで買ったものだが、アニメのLostrage勢に推しがいなかったことから結局コインを使うことはなく。
部屋の机の上にそれこそ一年近く放置されていたそれを見て、ふと思ったのだ。


このまま一度も使わないままでいいのか、と。


そう…気づいてしまったのだ。
ポケモンカードでも、WIXOSSでもなく。

マジックでも、コインを投げることはできる、と。

それが。







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クラークの親指。







2章:構築編

クソデッキ、躊躇う。

それもそうだろう。クラークの親指といえば長いマジックの歴史の中で幾度となく語られてきたカードだ。
見た目通りの挙動しかしないし、ネタカードとしては相当有名な部類である。
これを使って勝てるかどうか以前に、面白くなる余地があるかどうか不安になるほど、ある意味手垢でベッタベタなカードである。親指だけにね笑
「強いて自分で組むならどう組んでいくか」くらいの厳しさだが…何事も挑戦だ。とにかく考えてみよう。


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まず方向性として明確にロマンすぎるコンボはやめようと思う。
偶然の出合いは良いカードだが、クラークの親指を使うのはデフォルトみたいなものだし、既に考えられていて面白いデッキにならなそうな気がする。あと何度もコイントスをするのはだるそうだし…。
こういう時にレガシーガチ勢が仲間内にいるのは助かる。夢を見なくて済むから…


そして偶然の出合いを目指さないのであれば──逆説的にレガシーである必要がなくなる。
つまり。
目指すべき主戦場は、モダンだ。


ならばここからは話が早い。議題は「モダンでコイントスを使って何を目指していくか?」だ。

まずはテキスト内に「コイン」を含むモダンリーガルのカードを我らがWisdom Guildで検索、26件のカードがHIT。
当然のことながらほとんどのカードが赤に寄っている…そして大抵のコイン投げカードは高火力スペルだ。


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簡単に火力が見込めそうなのは魔力激突によるバーンデッキだろう。
カード1枚で20点以上を叩き出すかもしれないのだから勝利する上でこんなに簡単な話もなかろう。4枚投入だ。



…でも一旦落ち着いて考えると、コイン投げをしたいのはやまやまだが限度というものがある。
偶然の出合いならともかくポケモンカードでも裏が出るまで投げる系のカードは楽しかったけどすぐに飽きたし、流石に僕ももう大人だからそういうはしゃぎ方をするのはやめたいと思う。


一応調べたところダメージ期待値を計算した当時の文献が残っていて、クラークの親指を置いてるときの魔力激突の期待値は2~4点だそうだ。

実質カード2枚使って上ブレ4点ではボロスチャームでも打ってるほうが明確にマシだし、バーンデッキはどこから切っても火力が盛りだくさんな金太郎飴的デッキであることが強みの一つ。魔力激突の2枚コンボはそぐわないだろう。


ならばどうするか。

火力が見込めないならば…ダメージではなく別の部分でアドバンテージを稼ぐしかない。

26件のコイントスを要求するカードの中で、もっとも強力なアドバンテージは。




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焦熱の計画。

気でも狂ってるかのようなクッソ長いテキストだが、簡単に解説すると、これはコインを三回投げて、連続で表が出るたびにボーナスが増えていくスペルだ。
1枚表でクリーチャーに3点、
2枚表で対戦相手に6点、
3枚表で9ドロー。

脅威の3マナ9ドロー、これで相手の心を折る方向で行こう。
ライフゲインこそないものの、スフィンクスの啓示が使えた頃のRTR期スタンを遊んでいた諸兄は、コントロールミラーでエンドにX=9で撃たれて通ってしまったときのあの絶望感を思い出してみてほしい。
マジックは基本的にハンドさえあれば負けようがないのだ。
あと「火力以外のアドバンテージ」とも書いたが、よく見たら本体にも6点飛ぶし火力としても十分すぎるパワーがある。


ドローで勝つということは、カードを引くことに…ハンドアドバンテージを復活させることに意味のある、赤のデッキ。
そう…例えに出したスフィンクスの啓示よろしく、コントロールデッキなんかはどうだろう?
このカードが1:1交換が基本のコントロールデッキのフィニッシュブローと考えたら…この上なく強力なのではないだろうか。



そう、ここにきて腹は決まった。
完成へと至るためのアーキタイプ
目指すべきは赤青のコントロールデッキ代表、ブルームーンとのハイブリッドだ。

www.hareruyamtg.com

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ブルームーンはもともと打ち消しによる1:1交換をし続け、血染めの月が刺さる相手にだけ1:複数の交換が可能な、細いコントロールデッキだ。
真綿で首をゆっくり締めていくような独特の味わいこそあるものの、明確なフィニッシュブローがないことが弱点のひとつであった。


だがもしそこに、3マナ6点9ドローという宇宙的アドバンテージがもたらされたら。
太陽の光を克服したカーズ様のように、弱点のない最強のデッキが誕生するのではないだろうか。



そして、ふと脳裏に浮かんだビジョン。
『親指』『月』、そして『宇宙』、最後に『情熱』
つまりはそう。








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小山宙哉作、宇宙兄弟』。




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の、このシーン。



自分の目と親指が描く三角形と、地球(自分の目)と月が描く三角形は相似形であり、
前者に対して後者は何倍かということで月までの距離が求められる。


というこの文章はコピペしてきただけで専門卒の僕には何にもわからないんだけど、
月まで行くぞという情熱が伝わってくる名シーンである。



──こうしてデッキは完成へと至った。

紹介しよう。これが宇宙へと向かう情熱、アポロ13だ。





Deck: Apollo13.dec

Counts : 60 main / 15 sideboard

Creatures:8
4 Snapcaster Mage
2 Vendilion Clique
2 Goblin Dark-Dwellers

Spells:30
4 Lightning Bolt
4 Serum Visions
2 Spell Snare
3 Krark's Thumb
3 Mana Leak
3 Muddle the Mixture
2 Remand
3 Blood Moon
4 Fiery Gambit
2 Cryptic Command

Lands:22
8 Island
1 Mountain
4 Polluted Delta
4 Scalding Tarn
2 Steam Vents
3 Sulfur Falls

Sideboard:15
1 Platinum Emperion
1 Ceremonious Rejection
2 Surgical Extraction
1 Echoing Truth
1 Shadow of Doubt
3 Anger of the Gods
2 Molten Rain
2 Madcap Experiment
1 Shatterstorm



リアルで組んでしまうというリスク。

とはいえカードは元々ほとんど持ってはいた。
骨子になっている赤青のカードのほとんどが頑張って買い集めたグリクシスシャドウのパーツなのだが、結局神戸に持っていかなかったので…ある意味リベンジマッチを兼ねているとも言えるだろう。
血染めの月も結局手に入れてから一度も使ってないやつだし、あと勢いで買っちゃったクリコマとかも…買ったのに使ってないカードが多すぎる…


とにかくそれぞれのパーツを解説していこう。
まずクラークの親指は強力だが伝説のアーティファクトなので複数枚引くとほぼ負けることは火を見るよりも明らかだ。

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そこでリスク回避のために交錯の混乱を入れた。変成効果でクラークの親指をサーチし、焦熱の計画でカードアドバンテージの差を一撃のもとに覆す狙いだ。
キーカードが6枚入っているのと同じなので十分コインを投げることはできるだろう。
ちなみに焦熱の計画はサーチできないので諦めて4枚入れた。


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クラークの親指による加護があるとはいえ、焦熱の計画に不確定要素があることには変わりない。
なので失敗しても瞬唱の魔導士とゴブリンの闇住まいで何度でもチャレンジする体制を敷いている。普通のブルームーンと同じなだけだが
実は焦熱の計画は1枚目の表でクリーチャーに3点飛ばす効果があるせいで、クリーチャーが場にいないと唱えられないという隠された弱点があるのだが、これらのクリーチャーでのフラッシュバックでなら自らを対象に取ることで問題なくキャストできる。

重要なのは失敗を恐れないチャレンジ精神だ。
いつか宇宙(的アドバンテージ)に辿り着くまで、何度でも挑戦すればいい。


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そしてサイドからはクラークの親指に飽きた場合、向こう見ずな実験パッケージに交換するというサブウェポンを用意した。普通にマッドキャップムーンに戻るだけだけど
行き過ぎた情熱はいつか狂気へと変わるということを指し示しているのだろう。
ちなみにサイドの徴用はその昔スターライト・マナレシオを読んで以来、一度は使ってみたかったカードなので勢いで入れてある。
これもまともに使ったことはないのだが、エルドラージトロンとのフリプで相手のカーンを奪ったら自動的に勝ったし、まあトロン対策の一貫になるだろう。
あとはぶっちゃけ普通のブルームーンだ。





そしてこのデッキには隠された符号がもう1つ存在していた


焦熱の計画…宇宙的アドバンテージ…宇宙…9ドロー…9…そうか。
つまりこれは。







team 9-table。


一緒にGPへ行った仲間たちへの感謝が、
このデッキには込められている。
飲み会のたびに親指を立てた写真をTwitterに上げてたのもクラークの親指の伏線だったに違いない。



宇宙には一人では決して行けない。
そしてこれは仲間たちがいなければ組めなかったデッキだ。クリコマも月もらだと空洞から売ってもらったものだし。(その割にはいままで使ってなかったけど)

仲間たちとの絆を信じ、いざ、宇宙への旅路に向かうのみ。


3章:激闘編


親指、晴れる屋平日モダンへと出発。


宇宙兄弟となるか、はたまた親指スターウォーズとなるか。
全3回戦、今はただ戦い抜くのみ。

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了解!


R1 スリヴァー

G1:ダブマリのち月キープしたら1t森からバイアル。なんとか設置するも時すでに遅く、カウント3から菅草スリヴァーが2枚出て8点クロック。パーツを一枚も見せずに5分で投了。
再生されるしクロック半端ないってことはコイン投げてる暇がマジでないな?と思い、1戦目にして親指関連パーツ10枚を綺麗にアウト。

G2:ダブマリの相手を普通に4t向こう見ずな実験から帝像を出し神々の憤怒でバックアップしながら殴り続けて勝ち。コインとは。

G3:サイドチェンジで一瞬コイン投げるか逡巡するもそのままGO
月貼った返しに沼を引かれるも神々の憤怒をトップして流した返しに調和スリヴァーで月が割られる、という壮絶なトップ合戦の末、アタックを急いだ相手をトップからの稲妻→瞬唱→稲妻で押し込んで勝ち。
コイン一個も関係ないけど、このデッキギリギリの勝負になって面白いな。

R2 緑黒エルフ

G1:稲妻瞬唱稲妻で序盤をしのぐも4tのヴェンディリオンで公開された手札にはロードが沢山。このままだと押し込まれると覚悟して、5t親指からの焦熱の計画!!
→3枚表成功
本体6点でライフもひっくり返したあと相手のロードを一枚ずつ綺麗に打ち消して勝ち。対戦相手の方の反応が良く、「なんすかそれ!!」って無限に騒がれてギャラリーができる。

G2:エルフってことはクリーチャーが常に盤面に出てるので打つタイミングに事欠かないだろうと親指セットを入れたままGO。
土地の枚数が芳しくなく敢え無くマリガンしたのち、親指セットからの渾身の焦熱の計画があえなく裏。FBしてもう一回打つも裏裏。絶望感半端ねえ〜〜。そのまま通ったエズーリに押し込まれて負け。

G3:ギャラリーの見守る中、3t遺産のドルイドをあえて見逃し大量に並んだエルフを返しに憤怒で焼いて1:7交換。そのまま相手の動きが止まったのでゴブリンの闇住まいに辿り着いて殴ったのち、親指セット→焦熱の計画で2枚表でストップからの本体稲妻。ジャスト9点。
スタックで相手が投了代わりに本体火力を自分に打とうとするが、それさえも交錯の混乱が打ち消して完全勝利

R3:ナヤビッグマナ

G1:マリガンしたら大量のマナ加速から血染めの月を貼られたのち太陽の勇者、エルズペスがストレートに出てきて蹂躙される。

G2:ここに来て悩む。pwを流すのに焦熱の計画は使えるかもしれないが相手には軽いクリーチャーが出てこないため打ち所がないのでは…。
とはいえ帝像も白タッチしてるぶん簡単に流されてしまいそうだし、何より10枚も入れたいカードがない。確実に抜かなければならない月だけ抜いて、徴用・疑念の影・残業する真実・溶鉄の雨をインしてGO。
1Gと同じく1t楽園の拡散から入った相手の4t目にヴェンディリオンを刺すと、公開されたのは6マナペス・業火のタイタン・世界を壊すもの・神の怒り・不屈の大地。
ラスを抜かず不屈の大地を抜いたら土地は止まったがそのターン中にラスでヴェンディリオンが流される。
打ち消しを構えながら親指をセットするが、焦熱の計画は手札にあるものの打ち所がないままターンは進み、ペスと世界を壊すものを打ち消したが世界を壊すもののキャスト誘発で親指が壊される。
返しに引き込んだヴェンディリオンで手札の焦熱の計画をボトムに戻し、トップ勝負のクロックパーミッション
伸びたマナから幾度となくキャストされる世界を壊すものを差し戻してマナリークして残響する真実で手札に戻して、最後はラスでヴェンディリオンが流されるもエンドに瞬唱が間に合ってギリギリ削りきって勝ち。思わずガッツポーズ。コイン関係ねえ。

G3:G2で焦熱の計画はマジで打ち所がなかったので入れるか抜くか本当に悩むが、世界を壊すものが出てくるならそれこそ帝像が2秒で割られてしまうので仕方なく親指セットを入れたままGO。できれば手札に来ないでくれ!頼む!
今回も1t楽園の拡散から入られるものの、こちらは溶鉄の雨2枚をキープ。1枚しかない森に楽園の拡散が2枚ついたところで溶鉄の雨でどしゃくると相手の動きが止まり、そのまま引き込んだゴブリンの闇住まい2枚で溶鉄の雨を合計4回使い相手の森を割りまくってそのまま勝利。その間親指関連のカードは一度も引かなくて助かった…。


戦績:3-0。

ニャンキャット、宇宙へ。








4章:完結編


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GPで負けに負け続けた結果、どうせこんなデッキ勝てへんやろと思って初っ端から偉大なる先人であるまつがん先生リスペクトのテンションでこの記事を用意していたのだが、存外の3-0。
やった!やった!夕飯はドン勝だ!!



いや、喜んでいる場合ではない。
この日の周りのデッキはリビングエンドからキキジキが出てくるとか、R2のエルフはサイドに叫び大口がいたりとか、変幻自在の無法地帯だった。
明確にみんな自由な構築を楽しんでいた。

そこで行くと僕は既存のブルームーン・マッドキャップムーンに10枚ノイズを加えただけだ。
交錯の混乱は腐っても打ち消しなので実質的なノイズは7枚だけ。
残りの53枚は徹底的にガチなので、ちょっと勝ちたがりすぎたかなと逆に反省してすらいる
せめてこの記事が面白くなってればいいのだが…。

とはいえ2戦目に焦熱の計画を打ってるときに「おい見ろあいつコイン投げてるぜ!!」ってちょっとギャラリーができたし対戦相手の方のリアクションも大変良かったので、今回のデッキは完全に満足。1500ポイントで親指と焦熱の計画の元も取れたし…

今回はブルームーンというデッキ自体が、追加ターンを得たところで明確な勝ち手段に繋がらないので微妙と判断して諦めたが、時の縫い合わせやラル・ザレックを入れてがっつりと追加ターンを得るのもいいかもしれない。
魔力激突でもっとバーンに寄せてもいいし、自分もコインを投げたくなってしまった悲しい人がいたら試してみてほしい。
なんなら親指エターナルブルーというのも可能かもしれない。あんまり面白くなさそうだけど


モダンはもっと自由に遊んでいいんだ。
その実感を得られたことが、今回の何よりの収穫だったと思う。
これから色んなクソデッキを試していく、そのいいスタートを切れた。
ゼウスへの、いや、宇宙への道はまだまだ長く険しい。

そこそこ勝てるレベルのデッキだとオチをつけるのが難しく、完全なクソデッキだと勝つのが難しいという半端ないダブルバインドに気づきつつあるけども。
組まずにはいられないほどの符号に出会えたなら、またお会いしましょう。

ここまで読んでくれてありがとう!